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平成12年9月1日発行
NVN事務局編集 創刊準備号 |
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NVNが発足します!! |
皆さんの力でNVNを育てて下さい |
日医研一同 |
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ビハーラ講座も4回目を終え、受講者はのべ130人をこえました。以前から修了者の情報交換の組織を作ったらどうだろうか、という提案が受講者の中からあり、いずれ時期を見てということになっていました。今回で100名をこえる修了者を排出したのですから、そろそろどうだろうかという声が、あちこちから聞こえてきました。それではと具体化について皆さんに相談したところ、多数の方々が両手を上げて賛成して下さいましたので、ここに、 「日蓮宗ビハーラネットワーク」 Nichirensyu Vihara Network(略称NVN) の発足を迎えたわけです。修了者の中から有力な事務局員も決まり、将来が楽しみです。 参加者の範囲をどうするか?予算は?例会を開くか?etc.これからの課題はたくさんありますが、とりあえずは機関紙を通じて情報交換するところからスタートし、試行錯誤をしながら進めていきたいと思います。どうぞ皆様の温かい心でNVNを見守り育てて下さいますよう、お願いいたします。 法華菩薩道の実践としてのビハーラ活動は、立正安国を宗是とするわが宗門人のなすべき社会教化活動であるというにとどまらず、仏教界全体の再興につながる活動であると、私たちは確信しています。その意味で、NVNは大変重大な任務を背負って船出したといえるでしょう。お互いみ仏の子として、地涌の菩薩として、手をたずさえてまい進しましょう。み仏の導きを信じて。 |
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NVNに期待する |
日蓮宗現代宗教研究所長 石川浩徳 |
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人はその生涯において、時には悩み、苦しみ、救いを求める。そこに、ビハーラ活動の場が生れる。ビハーラは行動してこそ意味がある。せっかく得た知識や実習の成果を、現実の場で生かしたい。病める人、老いた人、死を目前にして苦しむ人やその家族へのケアなど。菩薩行の実践とは、法華経による本当の「安心」の衣に包み込むことだ。 NVN(日蓮宗ビハーラネットワーク)が、情報交換の場にも、知識を深める場にも、更には同じ志を持つ仲間作りに役立つ場にもなることが望まれる。ビハーラ活動の輪が大きく広がることを期待してやまない。 |
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平成11年度「日蓮宗ビハーラ講座」の報告 |
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去る平成12年2月21日〜23日の2泊3日の日程で、池上本門寺・朗峰会館を会場に、第4回日蓮宗ビハーラ講座が開催されました。 各講師に、講座の趣旨と感想を述べていただきました。
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幸福感と生きがいを |
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蟹江一肇 |
** 講座名 ** 「臨終教化のあり方」 「高齢社会に対応して」2回生以上対象 |
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生きとし生ける者の先頭に立って、人々の苦を取り除くのがビハーラ活動の大きな役割ではないでしょうか。 寺院がビハーラの場となり、僧侶が社会活動の中で活きた働きをする時だと思います。 とりわけ高齢化、少子化の進む中で、高齢者の視覚・聴覚・記憶・知能・人格・人間関係等の変化の中で、その在り方を深く見つめ、高齢者の生活実態を把握して、幸福感と生きがいのある人生を構築していくことこそが、大切ではないでしょうか。 そのためには、宗教心の援助、社会資源の活用と地域との連携等に目を向け、家族と共に、安らかな生涯が送れるよう援助することこそが、僧侶としての大きな役割ではないでしょうか? |
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講師も一緒に学んでいます |
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柴田寛彦 |
** 講座名 ** 「お見舞の基礎知識」 「『千代見草』に聞く、看病の心得と臨終行儀」2回生以上対象 |
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今回で4回目のビハーラ講座。私の担当は、全員対象の「お見舞の基礎知識」と、2回目以降受講者対象の「千代見草に聞く臨終教化」です。毎年同じことを話しているようですが、さにあらず!回を重なるごとに私自身の理解も深まってきて、放す内容も変わってきているように思います。他の講師の講義を拝聴していても、毎年同じような話なのですが、不思議なことに毎年感動を新たにして聴いています。時には涙をこらえながら。きっとそこには、確かにみ仏の真実の教えがあるからなのでしょう。 |
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ビハーラ精神の実践をめざして |
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古河良晧 |
** 講座名 ** 「仏教の生命観とビハーラ精神」 |
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講座では「仏教の生命観とビハーラ精神」を担当させて頂いている。人きなテーマなので、限られた時間内で解説するには、かなりはしょってしまいがちで、おそらく聴講の方々も消化不良を起こしているのでは、と心配だ。 大切なことは、ビハーラ精神の理念を学ぶだけではなく、その実践である。私自身は、今年に入って以降、檀家さんをはじめお見舞活動に取り組んでいる。これまで語ってきた仏教的理念をどれほど体現できるか、自問自答することも忘れずに進めていきたい。 |
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こころに耳を傾けよう |
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渡部公容 |
** 講座名 ** 「カウンセリング入門」 「ロール・プレーイング」 |
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私は、主としてカウンセリングの講義、実習(ロールプレーイング)を行ってきたが、これらはいずれも、話を聴くことの訓練であるといってもよい。私たち僧侶は、日頃から「人を教化する」という立場にあるためか、常に人に対して「教えてやる」「答えを出してやる」といった気持ちになりやすい傾向がある。そこでは、相手の話を聴く、その人の心に耳を傾ける、といったことが忘れられがちになる現実がある。布教・教化の講習会は多いが、「話を聴くこと」の講習は皆無といってもよい。本講座での体験が一助となればと願っている。 |
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ご教示下さい!! |
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山口裕光 |
** 講座名 ** 「ご遺文に見るビハーラ精神」 |
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講座を担当させて頂きましたが、反省すべきことばかりです。一例をあげますと、開催趣旨にある障害や高齢化に悩む方々にむけてのご遺文を見つけることができません。悲母とか、病いとか、臨終等の言葉により、高齢者であろうと類推してご遺文を列挙してみました。どなたかご教示下さい!それにしても、会場設営、進行、記録、接待、片付けなど、仕事は沢山あります。どうか、新しいスタッフを増員して頂けませんでしょうか。 |
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振り返れば、反省点ばかり |
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奥田正叡 |
** 講座名 ** 「ビハーラ活動の歴史と現状」 |
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日本で最初に建立された大阪の四天王寺には、施薬院、療病院、悲田院、敬田院の四箇院が建てられ、人々のために救療活動がなされていました。これが我が国におけるビハーラ活動の原点です。講座内容を振り返れば、反省点ばかりが浮かびますが、このビハーラ講座を続けていくことが、新たな歴史をつくることになると思っています。これからも、よろしくお願い申し上げます。 |
合掌 |
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ビハーラ活動を通して学んだこと |
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今田忠彰 |
** 講座名 ** 「ビハーラ活動の体験を通して」 |
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「ビハーラ活動の体験」を話す時はいつも、波だが出てしまうのです。 自分の人生を終わって逝く人の心を思う時、掛け替えのない大事な人を失った家族の心を思う時、気の毒で悲しくて、波だが止まらなくなるのです。 看病している時から家族と共に苦しみを共有していると、通夜・葬儀の時も、最初から心が通じているのです。 ビハーラ活動を通して学んだことは、日頃からの教化活動があって、始めてビハーラ活動が有効に生きる、ということです。 |
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** 受講生の感想文 ** |
ビハーラ講座を受講して |
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神奈川1部 瀬野妙佳 |
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普段、動きどおしの私にとって、ほとんど座ったままの3泊4日はつらかったものの、充実感のお陰で疲れはありませんでした。 「ビハーラ」という言葉はよく耳にしますが、「安心を与えること、癒しの場」のことと分かって有意義でした。これこそ宗教に携わる者の使命と思うからです。その根本は慈悲だと思いました。それによって今回学んだことが周囲への力となって実際に生きるからです。 今回嬉しかったことは、身分証明を頂けることです。今までは病院に出向いても、どうしても遠慮がちでした。これで心のままに堂々と見舞えることが期待できそうです。 今後身心共に病む人が増えると思います。私達教師も寺族も仏祖のみこころを頂いて、ビハーラ精神を発揮し、それによって一人でも多くの人がお題目に触れて、真の幸せ(心の豊かさ)をつかんで欲しいと思います。今後のビハーラ活動に期待します。最後に一言、研修中もっと粗食でもよいのでは。 |
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** 受講生の感想文 ** |
苦をば苦とさとる |
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兵庫東部 名引常観 |
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生を受ける者として、四苦は避けられません。病の苦しみは、生きているからある苦しみ、また、身体が老いて受ける苦しみ、そして一度は必ず死を観ずる苦しみと、四苦の大きな脈と成っているように思っていました。 本当に病と向き合っている人達にとっては、何を言っても慰めにしかならないのではと思い、自分の事のようにかんじようと努めることが大事と思っていましたが、講座をじゅこうしてそれも思い上がりではないかと思いました。色々な治療の仕方を知りながら、全てそのように受けとめていくように導くということは、日蓮聖人のお言葉にも「苦をば苦とさとり、楽をば楽とひらき、苦楽ともに思い合わせて、自受法楽せよ」の深い意味を身で感じることが、本当のビハーラ活動の役目ではないかと痛感いたしました。 講座に当たり教わった講師先生方に感謝申し上げます。 |
南無妙法蓮華経 |
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** 受講生の感想文 ** |
ビハーラ講座を受講して |
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兵庫東部 高羽俊泰 |
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この度、2回目を受講させて頂き、感謝申し上げます。1回目の時は、内容がわからないまま受講しましたが、今回は多少なりとも内容を承知しての受講だったので、充分とは言えませんが、多少は理解出来ました。小生の理想とする処は、僧侶である以上、この様な事は認識しておくべきだと感じました。偉そうな事を申しましたが、実はこの様にして赤子に飲乳の如くご教示を賜わらなければ、なかなか正しい理解も納得も出来ないことに、浅学非才の小生自身に腹立たしく思った次第です。 講師先生方に釈尊のご教示、大聖人のお言葉、また医療の面からも、事こまかく事理にわたりご教示頂き、誠に有難うございました。 講師先生方のご苦労が大変良くわかります。望むことは、このビハーラ講座を知らない方が大半だと思いますれば、一人でも多くの教師の方に参加して頂き、自身の人格を研き、宗門内に留まらず、社会に貢献できる僧侶でありたいと思う処であります。 |
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** 情報コーナー ** |
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日本ホスピス在宅ケア研究会横浜大会の報告 |
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宗教部会担当 今田忠彰 |
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去る7月8・9日、「日本ホスピス在宅ケア研究会・横浜大会」が、横浜市神奈川県民ホールを主会場に開催された。 同会は、終末期の医療とケア、在宅での福祉サービスと看護などの問題について、医療や社会福祉従事者、市民、患者たちが同じ対等の立場で話し合い、学ぶことを目的としている。今までも宗教者の参加はあったのだが、今回初めて、宗教部会によるシンポジウム「こころの問題と宗教の役割を考える」が開催された。 まず、医師で日蓮宗本澄寺住職の柴田寛彦師が、「江戸初期の日遠上人の『千代見草』について紹介。患者の宗教意識と宗教の役割を論じ、日本の仏教界の問題点は、医療の現場における宗教者の役割が途絶え、現実に適応するノウハウが失われていることだ。ビハーラ活動で、仏教はよみがえる」との問題提起をされた。 その後シンポジウムに移り、シンポジストとして、柴田師の他に、横須賀市衣笠病院ホスピスでキリスト教チャプレンの作道至示師、ガン患者の大西なつ子氏、真宗大谷派僧侶の三つ橋尚伸師が加わり、活発な討議が行われた。 作道師は「日本人のホスピス理解が足りない原因は、日本人が死を忌み嫌うものとしているからだ。病院では霊安室も地下にあり、遺体はひそかに運び出されている。ホスピスでは死を一つの旅への出発として、医師・看護婦を含め、玄関口まで見送っている」と話された。 大西さんは、「この2年間に病気をして気づいたことは、毎日、現実と真正面から向かい合うことだ」と心境を語られた。 三つ橋師は「病気と向かい合う患者に対して、同じ死ぬ人間として同じ方向を見ていく関わり方を大切にしている」と話された。 今回、日本ホスピス在宅ケア研究会の横浜大会という、全国大会の場において、初めて宗教部会がシンポジウムを開催出来たことは、大きな成果だった。このような地道な成果の積み重ねにより、とかく敬遠されがちだったホスピスやビハーラでの仏教者の活躍が、次世紀の仏教を大きくよみがえらせるものになるだろう。 来年度は、6月30日(土)7月1日(日)の日程で、大阪国際会議場で開催される。皆様の参加と、大阪の方の積極的参画とを、是非とも期待します。 |
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編集後記 |
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◆日蓮宗ビハーラネットワーク(NVN)の会報の創刊準備号をお届けいたします。会報は年に1〜2回程度の発行を予定しています。
◆日蓮宗ビハーラ講座を受講した修了者の方に、ビハーラに関する情報を提供することや、会員相互の情報交換に役立つことを目的にしています。会員の皆様からの情報をお待ちしています。
◆表紙にあるロゴ・マークは、栃木県栃木市の妙唱寺住職の近澤雅昭師が作成し提供して下さいました。ご披露申し上げます。
◆事務局員を募集しています。事務局員として意欲的に事務局の仕事をお手伝い下さる方は、お気軽にお知らせ下さい。 |
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日蓮宗ビハーラネットワーク(NVN) |
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事務局 〒146−0091
大田区鵜の木2−37−5 妙徳教会 内
TEL 03(3759)5284
FAX 03(3759)5021
事務局員 今田忠彰 岡田妙順 高平妙心
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