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日蓮宗新聞 平成18年4月20日号
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もっと身近に ビハーラ
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林 妙和師
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いのちは いのちに触れてこそ、輝く
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やわらかい赤ちゃん 介護って難しい 「一日看護体験から」
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五月十二日は看護の日。この週はいろいろなイベントが行われますが、その中に「一日看護体験」があります。参加申し込みは、学校単位のものから、学生、一般の人とそれぞれです。
また時期は異なりますが、学校単位の職場体験や交流会の依頼も
あります。
体験学習では、患者さんの許可を受けて、お話相手や車椅子での散歩と体温・脈拍の測定・配膳・身体を拭く・足浴など行い、患者さんにふれていただきます。
例えば女子学生の場合は、子供が生まれる感動や、いのちの誕生の意味などをできるだけ体験できるように手配します。
妊婦さんから話を聞いたり、超音波での動く胎児の姿や児心音(鼓動)を聞いたりし、赤ちゃんの誕生がどんなに待ちのぞまれているか、大切に育まれているかを学んでもらいます。
交流会に参加できなかった患者さんをお見舞い。 「おばあちゃん、こんにちわ!」
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参加者の感想文を紹介しましょう。
○中学生二年
介護を簡単と思ったけどやってみると、お風呂に入れるときのお手伝いなど難しく、全く手が出なくて大変恥ずかしかった。
一生懸命汗を流してやったことをお年寄りが涙を出して喜んでくれたことが、私はすごく感動しました。
そして真剣にやさしく接している人を見て、「ああ世の中にはこんな人もいるんだな」とつくづく思いま
した。
老人はみんな寝たきりと思ったけどちゃんとやっている人が多か
った。
お手伝いに行ったのに笑顔で話しかけてくれたり「ありがとう上手だね」と言われてうれしかったです。
お手玉を教えてもらったりした。
家にはおじいちゃん・おばあちゃんがいないから今回の体験は本当に楽しかったです。
○中学一年女子
生れたばかりの赤ちゃんに触れて「こんなに小さく、やわらかく、いとおしい」生まれるってすごいことだ。わたしもこんなんだったのかな。
○高校一年女子
私は入院とは、何なのか分かっていませんでした。
身近にいる人が手術をしたり、入院したりしていても自分は違うと思っていたのかもしれません。多くの患者さんを通して、いま自分が幸せなんだと感じました。
それと同時に患者さんの無事を析りました。析ることしかできない私と違って患者さんのために何かできる皆さんがうらやましいと思いました。
○中学生一年男子
はじめは、やせて寝ているかたを見ることができなかった。足浴をしたら「気持ちいい」「ありがとうといってくれた」手を握ってくれた。うれしかった。
○小学生二年女子
おじいちゃん
おばあちゃんと
てをつないだよ
うたをうたったよ
てがあたたかかったよ
ないていたよ
笑ったよ
かえるとき顔がうかんだよ
○看護師・愛子さん
高校生のとき、二日看護体験」に参加。看護体験した施設で「高齢者のケアをしたい」と就職、看護師を続けている。結婚し母親になって三ヵ月。一年後には職場復帰の予定。
大雄会病院と老健施設アウンでは、「人間対人聞のかかわりから大切なものを学ぶきっかけに」と今年も体験学習の受入れの準備中です。
若者に人々の生きる姿や支え合う人達、また様々な職種が働いている現場を身近に知ってもらおう。そして体感したことが、やがて自分も相手も大切な存在として認め合える。他者を思いやる心を育くみ合えることを願っています。
いのちの尊さは言葉だけでは、伝わらないものです。
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(名古屋市道心寺修徒・医療法人大雄会顧問)
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