日蓮宗新聞 平成18年2月20日号
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もっと身近に ビハーラ
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林 妙和師
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失敗から学ぶ 転倒がきっかけ
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介護用品などのアンテナショップ運営
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うっかり…
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ケガや事故はちょっとした不注意から起こることもありますね。
毎日顔を合わせていると高齢者であることを忘れ、油断してしまったり、見守る周りの方にもゆとりがないことも多いでしょう。
また、本人もわれを忘れて「しまった!」など、ありませんか?でも、経験は活かせば宝になります。
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こんな時は要注意
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〈階段を降りている時〉
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後ろから急に呼び止められ「な〜に」とウッカリ後ろを振り向きながら、足をすすめていた。
結果 階段を踏み外し、顔面と胸を打ち肋骨にもひびが入ってしまった。
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〈最近、すり足気味〉
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普段気をつけて家族も見守っているが、慣れた道でもあり信号を渡り終わりひと安心。つい目を離したところ…。
結果 歩道側の段差に蹟いて転倒。怪我をさせてしまった。
「私がついていながら…」と悔やむご家族。
介護用品を紹介しながら、おしゃれ談義にも (左)美代さん
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高齢者のケガ等は、歩行中急に眼前に現れた障害物を避けるため急停止したり、床の傾きに応じて足を踏み出して転倒を防いだりする動作(最大筋収縮力)が鈍くなることから起こります。
特に高齢女性は転倒しかかったとき姿勢を立て直すのに必要とされる力(足関節の底屈トルク)が若年女性よりも(52%)半分くらいになってしまいます。
普段はさほど問題なくても、ちょっとしたはずみで高齢者は転んだりしやすいのです。
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経験を生かして
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「おしゃれ杖」を紹介する美代さん。 カラフルで柄も豊富
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「より元気に美しく」をモットーに頑張る美代さんを紹介します。
元気な頃は化粧品店をバリバリ経営。転倒・大腿骨骨折の手術後以前のように活動もできず、また年齢も感じるようになり事業を縮小。でも、このまま一人じっと過ごすのはさびしい。何かしたい!
そんな想いから、介護に関する情報交換や個人の作品やリサイクル品の展示の活動を開始。店の一角に介護用品の紹介コーナーを設けました。
自らの体験から「筋力の低下」「外出に不安を持つ」方のために、おしゃれな杖の提案もしています。
杖は歩行の際、転倒などを防ぐよう補助的に使用。折りたたみで持ち歩きに便利。
杖もファッションの一部とご自分も愛用しています。
杖が支えるのは身体だけではありません。ちょっとした安心感が気持ちを切り替えてくれるでしょう。
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ワンポイント
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階段の昇降時
○手すりにつかまる習慣をつける
○見守りや声かけは、昇る時は一歩後方、降りる時は一歩前方の位置から。
杖の使用時
○本人の身体の状況に合っているか確認。一般的には腰骨の高さがめやす。
○杖使用の人の見守りは、杖を持っていない側に立つのが原則。
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体験は宝に
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転倒事故で介護される側から、転倒予防などの啓発活動に生きがいを見つけた美代さん。
はじめは小さな集まりであっても、やがて体験を共有する地域の介護ネットワークに育っていくのです。
そんな場所を街角で見つけたら立ち寄り、エールを送りましょう。ときには趣味や楽しみごとなど、いっしょにおしゃれ談義に花を咲かせてみては?
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(名古屋市道心寺修徒・医療法人大雄会顧問)
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