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日蓮宗新聞 平成17年6月20日号
もっと身近に ビハーラ
林 妙和師
まる10
介護・看護のワンポイント

なぜ3ヵ月以上入院できないのか
病院の機能分担 入院日数の短縮方向

 母(80歳)が骨折をして入院中です。寝たきりの状態なのですが、「一定の治療は終了したので退院してください」とのこと。
 共働きなので「もう少し体力がつくまで入院させてほしい」と頼んだところ、3ヵ月以上はこの病院ではできないとの返事がきました。
 これからどうしたらよいか困っています。母の体調も心配です。どのような手段があるのか教えて下さい。
 また、なぜ今は長く入院できないのでしょうか?(三重県・A子)
  
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 よ<ある質問です。過去には、入院治療は必要でないが家庭に介護者がいないなどの理由で入院(社会的入院)が可能でした。
 そのことにより様々な改革が行われてきました。「患者の状況に見合った病床で必要な医療サービス」といった意昧から病院でも病床の機能分担が行われています。
 病状が安定したり、一定の治療の終わった時点で(ベッドの利用効率・平均在院日数の短縮など病院の事情も合め)次の機能を持った病床(病院)へ移るか、退院が勧められるのです。
 現在は入院時に入院診療計画書で退院までのメドを書いて患者・家族に渡されるようになりました。
 入院の早期から退院に向けてどのようにしたいか本人や家族で話し合って、今後の方針を立てることが大切なのです。
 なお、「なぜ3ヵ月以上入院できないのか」のご質問の件ですが、大きな理由は病院(病床)の機能分担、入院日数の短縮の方向が打ち出されていることからです。
 例えば、高齢者に多い大腿骨頚部骨折のケースでは、
まる1 一般病床(急性期病床)
 骨折で入院。人工骨頭挿入手術。手術後歩行訓練などが必要な状態
まる2 一般病床(亜急性期病床)かBへ転床
 手術後や治療後、歩行訓練など
まる3 回復期リハビリテーション病床
 リハビリテーションを中心とした医療
まる4 療養型病床(慢性期病床)
 維持期の生活リハビリテーション。医療から介護の比重が多くなる

 など大まかに分かれます。
 A子さんのお母さんの場合、今の一般病床から変わるには次の様な選択肢があります。
(A) 退院して在宅介護(サービスを利用)
(B) 療養型病床へ転床
(C) (B)が無い場合は病院を変わる
(D) 介護施設に入所
(E) (A)〜(D)が、すぐに利用出来ない場合は事情を説明し、次の病院や施設等に申込み、病院で待機する。
 以上が大きく分けて想定されます。
 ではその準備をするためには、どこに相談すればよいのでしょうか。
○受け持ち医師・看護師長
○医療相談室のソーシャルワーカー
○市町村窓口など
 また、インターネットや、知り合い・近所などの情報を集める。

注意したいこと
○退院時に退院証明書が出ます。次に変わる病院へ提出を忘れずに。
 患者に過去3ヵ月以内の入院履歴の申告が義務付けられています。
 病院(病床)や病気の種類で異なりますが、合計入院日数が180日を超えると、自費負担が生じることがあります。
○退院準備の過程で介護保険の介護認定は受けておいたほうが良いでしよう。(医療保険適用と介護保険適用の療養病床があるため)

 この「介護認定の手続き」については次回ご紹介します。