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日蓮宗新聞 平成16年12月20日号
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もっと身近に ビハーラ
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林 妙和師
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歩くことは健康の基本 転倒には気をつけて
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今年は例年に較べて暖冬。12月なのに25℃を超え、関東では夏日を記録する日もありました。
とはいえ、やはり冬。高齢者は、寒さのため体の動きが悪くなりがちです。
雪で滑って転倒したり、かぜなどでちょっと寝込んだことがきっかけで、筋力の低下・関節の拘縮が進西、寝たきりの原因になりやすいのです。
外出がおっくうになると、生活空間が狭まり、何事にも意欲がなくなります。
老化現象に加えて、廃用症候群(身体・精神的機能に刺激がなく、使わないため機能が低下)を引き起こすといった悪循環につながります。
中でも、高齢者の転倒はこの悪循環のきっかけとなる大きな要因にあげられています。
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転びやすいのは
加齢により骨粗鬆症や筋力低下が起こります。例えば、歩行時上半身が前かがみになる、つま先やかかとが上がらないため、すり足になる等があげられます。
そのため、物をまたいだつもりがまたげなかったり、ズボンや靴下を履くときに転びやすくなるのです。若いときにはバランスをとって楽にでき、転ばないですむ動作も、高齢者ではバランスが取れなくなり転倒しやすくなります。
これらは、畳・カーペット・敷居などごく小さな段差でさえ起こります。また、高齢者の転倒は室内に限らず特に雨の日のぬれた床面や、滑りにくい床から滑りやすい床への移動の第一歩が危険です。
「夜間や朝方にトイレヘ行って転倒」も良く聞かれます。これは暗いところで眼がなれないことや、寝る前に飲んだ薬の効果が残っていて、ふらつくといったことが原因といわれています。
しかし、もっとも見逃せないは、心理的な面です。
奥さんが亡くなったことがきっかけで「閉じこもり、段々足が弱り、転倒から寝たきりになり、ついにオムツになった。」
また、家族が心配しすぎて「あぶない!あぶないから歩かないで!」と言い過ぎて、精神的に落ち込んで動かなくなり、認知症状(痴呆症状)が出た例もあります。
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介護のポイント
健康な毎日をすごすには楽しく、安全に歩くことが必要なことが、おわかりいただけたでしょうか。では具体的な注意点をお教えしましょう。
◎履物を選ぶ
つっかけ・サンダル・スリッパ・合わない靴は危険です。
◎降圧薬・催眠剤等薬によるふらつきに注意
◎家屋内の手すり・福祉用員を取り付ける。
選び方は介護支援専門員等に相談。介護保険が使えます。福祉用臭のレンタルや購入は一割負担。住宅改修には補助制度があります。
100%自分の力での介護は息切れしてしまいます。デイケアなど地域のサービスを各種利用して生活空間を広げ、楽しみましょう。
それは本人と家族(介護者)の生活を豊かにするためでもあるのです。
やがて迎える自分の将来を思い、周囲の人も共感し支え合い、お互いゆとりある心を持って新しい年を迎えましよう。
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