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日蓮宗新聞 令和5年8月20日号
ペットロス
臨床仏教師  星 光照

「頑張って」→「(これ以上何を頑張れば・・・)」

 「ペットロス」とは、大切なペットを失うことによる悲しみによって、心や身体に起こるさまざまな反応をいいます。近年、ペットと飼い主の関係はより密着型となり、ペットを失ってしまった時の悲しみが長期化、深刻化することが注目されています。
 大切な家族の一員なのに周りの人に理解してもらえず、傷ついた経験がありませんでしたか? つい最近も、長年飼っていた犬を亡くした檀徒から「夫に“いつまでもメソメソと悲しんではダメだ”といわれたんです」と相談を受けました。同じ家族内でもペットとの関係には違いがあります。喪失感の大きさなど想像がつきにくい場合もあり、また悲しんでいる家族にどのように声をかけてよいか戸惑ってしまう場合もあります。意見やアドバイスよりも、ゆっくりと話を聴く、一緒に思い出話をするなど、相手の言葉と気持ちを受け止めることが家族にできる第一歩となります。
 亡くなったペットに対して後悔の念を持ち続けて、悩んでしまうこともあります。「なぜもっと早く気づいてあげられなかったのだろう」「もし〜だったら…」と考えて、自分を責めたり、時には家族を責めたりしてしまう場合もあります。もしも後悔の念が出てきたなら「してあげたこと」を紙
に書き出してみましょう。後悔の念が強い時は「してあげられなかった」ことが多く浮かんできます。けれども、あなたが「してあげたこと」もたくさんあったはずなのです。書き出すことで「できる限りのことは一生懸命やった」と自分自身を認めてあげましょう。
 亡くなったペットのために葬儀を行ったり、供養をすることは自分や家族の気持ちを表に出す場を作ることに繋がります。法要を通じて亡きペットとの心の絆を改めて感じることができる時間ともなるのです。
(日蓮宗ビハーラネットワーク会員)
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