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生老病死と向き合う あなたのそばに
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日蓮宗新聞 令和5年2月20日号
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遺族にどう寄り添うか
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臨床仏教師 星 光照
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「頑張って」→「(これ以上何を頑張れば・・・)」
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友人、家族、知人が大切な人を亡くして悲しんでいたら、身近にいる私たちは何ができるのでしょうか。
大切な人を亡くした人は、周りの人の言葉にとても敏感に反応してしまう場合があり、力になろうと掛ける一言がかえって逆効果になってしまう場合もありまず。
◎「頑張って」「早く元気になってね」という励ましや激励。
(これ以上何を頑張ればいいの?)(早く元気にならないとダメなの?)
◎「いっまでも悲しんでいてはダメよ」「強くならなきゃね」指示や前進を勧める。
(悲しむことはダメなこと?)(弱いことはダメなこと?)
「私も辛かった…」と自身の体験談を通じて励ましたい気持ちもありますが、悲しみの感じ方は1人ひとり違うということを忘れないで下さい。「時間が経ては気持ちも楽になる」という言葉も、今という時間を生きている遺族にとっては辛い言果かもしれません。
ではどういったサポートが望まれるのでしょうか? 声を掛けるならば「いま、どんな気持ち?」「体調はどう?」といったように相手が今、感じていることを「聴いてくれる」という体験が心の支えになります。また今まで通りの生活を送ることが難しくなったり、しんどくなっている人もいます。ですので、生活面で困っていることなどを聴き、食事の支度、掃除の手伝い、買い物、病院ヘー緒に行くなどの、実際的なサポートの方法もあります。「何かあれば手伝うよ」という言葉よりも「○日なら空いてるよ。○○ならできるから」というように具体的に伝えると頼みやすくなります。あくまでも相手からの申し出に手を差し伸ぺるということが大切です。
「ゆっくり時間をかけてもいいよ。できないことがあったら手伝うよ」という、周りの人が自分を待っていてくれるんだと、遺族が感じることがさまざまな支えに繋がっていくのです。
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(日蓮宗ビハーラネットワーク会員)
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