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生老病死と向き合う あなたのそばに
日蓮宗新聞 平成29年12月20日号
当たり前
三井 妙真

相手にとっての優しい気持ちを

 朝起きて、食事をして、勉強をする人や働きにいく人。字を読んだり、言葉を発したり。そして夜になったら眠る。身体に不調のない人たちはこの生活のリズムを「当たり前」と思っているかもしれません。しかし、リズムを崩す出来事というのは予兆もなく突然やってきます。
 仏さまの教えに「諸行無常」があります。この世のすべての物は常に変化し動いていて、一瞬たりとも同じ姿をとどめるものはないのです。自分や自分以外の人に当たり前でないことが起きた時、例えば、ケガや病気、老化現象なら、少し調べるなどすればそこそこ対処はできますが…。
 ある時私は幼馴染から相談を受けました。「自分の弟妹(水子さん)の年回忌のお知らせがお寺から届いたのだが、両親はすでに他界。亡くなってから何十年も経っているし、塔婆を建ててお墓参り。それで供養は最後にしようと思うが、どうだろうか」と。幼馴染は私をお坊さんと思い判断を仰いだのだからお坊さんとしての考えを伝えました。「水子さんは私たちがお母さんの体からオギャーと生まれてから兄弟と一緒に育っていく中で味わってきたうれしいこと、悲しいこと、楽しいこと、つらいこと、この世で体験するはずだったすべてのことを知らずにあの世に行ってしまい、きっと寂しい思いをしているはず。それを体験している私たちは会えずに行ってしまった弟妹に、両親も私たちもあなたを忘れてはいないという気持ちを、最後ならなおのこと法事を行うように伝えてみてはどうか」と。幼馴染は「昔に亡くなった人は成仏しているからそれでいいと思っていたけど、赤ちゃんはそうよね、違うわよね。そういう風に考えたことなかったわ」と感心していました。後日、「法事をしてよかった。気持ちがすっきりした」とお礼のメールが届きました。
 (日蓮宗ビハーラ・ネットワーク会員)
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