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生老病死と向き合う あなたのそばに
日蓮宗新聞 平成30年1月20日号
自死遺族の心を知る
今田忠彰

自殺も自死も病死も同じ死です。事実を通じて正しい理解を

 平成10年に、自殺者数が年間3万人を突破した。平成20年代にやや改善したものの、昨年も2万人台で推移している。
 この自殺者の陰に、遺族が多数存在しており、自殺で親を亡くした遺児は年間1万人いると推計されており、その困難な生活の実態が報告されている。
 自身が自死遺族の尾角光美さん、通称「てるみん」が立ち上げた、自死遺族が助け合う会・リヴ
オンがある。
 「リヴオン」とは、「生き続ける」という意味で、亡くなった命も生き続けますように、という願いが込められている。
 てるみんは、19歳の浪人中に、事業の失敗で父親が失踪し、母親が鬱[うつ]病の悪化で自殺している。そんな中、てるみんは無事に大学に合格したものの、神経と腰の痛みで動けなくなり、入院することになる。奨学金も止められ、アルバイトもできなくなり、中退の危機になる。そんな時、多くの関係者の協力を得て、何とか大学を卒業することができた。その恩返しと、次の遺族へ手を差し伸ベたいとの思いで、この活動を始めたという。
 その活動の原点が、「母の日のプロジェクト」だという。
 皆さんは、「母の日」の原点をご存知だろうか。実は、アメリカの教会で、亡くなった母親に自分の思いを手紙に書いたのが始まりだという。この情報を知ったてるみんは、母の日プロジェクトを全国に提案し、亡くなったお母さんへ向けて手紙を書いてもらって、1冊の本にまとめた。アメリカでは、今年で109年目のプロジェクトになる。
 皆さんは、「自死」と「自殺」とどう違うと思うだろうか。
 てるみんは言う。最近自殺を自死と言い換える風潮が見られる。自殺は悪いことをした印象があり、自死は一生懸命に生きようとした印象がある、と一部で言われている。ただ、遺族みんなが、自死に変えてほしいと願っているわけではない。言某の言い換えより、事実を通じて、正しい理解を広める方が大切と思う。
 (日蓮宗ビハーラ・ネットワーク代表)
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