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日蓮宗新聞 平成27年2月20日号
ペットロス症候群
今田忠彰

ペットは家族の一員。失った悲しみに寄り添って

 お檀家さんの奥さまから、ペットのお葬式の依頼がありました。可愛がってきた愛犬だから、家族同様に供養をしてあげたい、とのこと。さっそく出向き、 ○○家愛犬ポンちゃんの霊位」と懇[ねんご]ろに供養をしました。晴れ着を着たポンちゃんが横たわった棺の中には、大好きだったぬいぐるみやおもちゃが、あふれんばかりに納められています。お父さんもお母さんも、子どもたちも、眼に涙をいっぱいに溜めて、必死に悲しみに耐えています。
 「さぞ、家族の皆さんに可愛がられていたのでしょう。当家の子になって、幸せな人生だったと思いますよ」。
 私のお悔やみの言葉ももはや人間にかけるのと同じです。

 お葬式が終わり、家族皆でポンちゃんの棺を抱えて火葬場へ行き、荼毘[だび]に付します。ペットの火葬場といっても、動物の火葬のために改良された焼却炉です。人間の時と同じように、係の人がいて、お別れの世話をしてくれます。
 「ポンちゃん、さようなら」「ポンちゃん有り難う」「待っててね。また、会おうね」と大きな声が飛びます。焼却炉の扉が閉まり、火が入ります。
 約2時間後、焼き上がったお骨は真っ白で、「可愛かった、やっばり、心のきれいな子だったんだね」と家族の誰かが言いました。
 四十九日忌の供養に伺った時のこと。お父さんが私に小声で言いました。「私の時には、皆がこんなに悲しんでくれるだろうか」と。

 皆さんは、「ペットロス症候群」というのをご存知でしょうか。家族同様のペットが亡くなって、強い精神的なダメージを受けて、心にポッカリ穴が空いたようになって、何もする気力がなくなり、立ち直れなくなってしまうという症状のことです。
 子育てが終わった老夫婦や子どものいない夫婦がペットを飼い、我が子のように可愛かっていたので、ペットが亡くなった悲しみに耐えられなくなるのです。
 ペットを飼っていない人には、なかなか理解されないことと思います。
 飼っていたペットが亡くなってしばらくすると、また次のペットを飼う人がいますが。次のペットで悲しみを埋めるしか、ほかに方法がないのでしょう。それほどに大きい悲しみなのです。
 そんな人を見かけたら、かけがえのない家族・ペットを失った悲しみを思いやって、そっと寄り添ってあげてほしいと思います。
 (日蓮宗ビハーラ・ネットワーク代表)
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