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日蓮宗新聞 平成27年3月20日号
信仰の継承
村瀬 正光

「終活」で祭祀の重要を次世代に伝える

 平成24年の新語・流行語大賞でトッブテンに選出された「終活[しゅうかつ]」という言葉を知っていますか? “最後の時”に向けて、遺言の作成や、葬儀・お墓の準備を始めることを指す造語です。緩和ケア病棟で医師として働いていると、回診時にそうした話題があがることは珍しいことではありません。
 「長男と長女が別々に、自分に有利な遺言を書いてと言うが、どうしたらよいか…」。
 「闘病生活に付き合ってくれた家族のために、葬儀は負担が少ないものにしたい。でも、以前とてもお世話になった方が亡くなったときに、家族だけで葬儀を行うからと参列できなかったことがあって、少し残念な思いをした。私がお世話になった人のことを考えると、普通の葬儀にした方がよいのかな…」。
 厚生労働省の「人口動態統計」によれば、平成25年度の死亡者数は約126万人。『司法統計年報』では、同年の遺産分割事件数は約1万2千件。相続人の間で争いになり、100件に1件の割合で裁判にまでもつれこんでいるのが現状です。
 安寧な臨終を迎えるために、遺された家族のために、臨終の用意は重要なようです。
 日蓮聖人も「まずは臨終のことを習い、それから他のことを学びなさい」と述べられています。
 相続というと、金銭的なものばかりに目を奪われますが、祭祀[さいし]も重要なものです。「祭祀財産」とは、先祖の祭祀を行うための必要な財産(墓地、墓石、位牌、仏壇など)で分割してしまうと祭祀をするときに不都合が生じるので、原則一人が祭祀継承者となり相続します。
 しかし、祭祀継承者が祭祀を行うかどうかは、その者の判断であり、義務ではありません。
 最近の研究では、祭祀などの宗教活動は不安を軽減させ、心の平安をもたらすことが証明されています。つまり、祭祀を次の世代に伝えることは、遺された家族が不安の少ない平安な生活を送ることに繋がります。祭祀を伝えることとは、信仰を伝えることとも言えます。
 自分だけでなく次の世代と共に、仏壇に手を合わせ、墓参を行い、お題目を唱える。そうした日常が信仰の継承となっていきます。
 信仰の継承、これが「終活」の中で最も重要なことではないでしょうか。
 あなたも「終活」を始めませんか。
 (日蓮宗ビハーラ・ネットワーク世話人、医学博士)
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