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生老病死と向き合う あなたのそばに
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日蓮宗新聞 平成25年5月20日号
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声 の 力
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三井 妙真
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ことばに込められた沢山の思い
意識と思いやりからひろがる幸せの連鎖
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私たちは日常、意識せずに言葉を発し、感情、表情、身振り手振りをつけて会話をしています。もしこれを意識して無感情で言葉だけを発してみたらどうでしょう。または、聴く側か何の反応も示さなかったら? きっと相手は居心地の悪さを感じるでしょう。
耳の遠い方に対して大きな声で話す。当然のようですが、必ずしもこれが唯一の方法というわけではありません。私の祖母も晩年は耳が遠く、一緒に住んでいた叔父家族は「耳が遠いから大きな声で何回も話さないと通じない」とよく言っていました。確かに祖母は耳が遠いのです。しかし、祖母の自宅から私の家まで自動車で1時間20分くらいの移動の間、窓の開いている状態で大きな声ではなく、地声(少し低め)で話す私に祖母は一回も聞き返すことなく、二人で普通の会話ができていたのです。スムーズな会話は緊張もほぐしてくれます。人によって聴き取りやすい音の高さは違いますので、大きな声でダメだったら小さな声、この距離でダメだったら耳元へ移動して話しかける。注意しなければいけないのは、いきなり耳元で大きな声で話しかけると、相手がびっくりしてしまいますので、肩を軽くたたくなどして意識をこちらに向けてから話しかけるのがよいでしょう。色々な方法を試してみるとよいですね。
緊張をほぐすと言えば「歌」にも同じ効果があります。自分のストレス解消の為に歌う方も多いと思いますが、自分以外の方の心を癒すこともできますよね。例えば、Aさんからリクエストをもらって、心を込めて歌ったとします。Aさんはそれを聴いてとても喜んでいます。そんなAさんの姿を見た自分もうれしくなって心がほっこり温かくなる。とてもうれしい連鎖です。
被災地にも「安らげるひと時を味わっていただけたら」と大勢の歌手やコーラスグループの方が出向きました。テクニックだけではない心の伝わる歌。それが被災地にいる方たち、日本各地に避難している方たちに心の余裕をもたらせたのではないでしょうか。復興支援ソングの中でもプロジェクト化された「花は咲く」という歌は何度試みても私には最後まで歌いきれません。この歌に込められた数えきれない方たちの想いが大きすぎて。
私たちは日常、言葉の使い方を無意識に間違え、相手を傷つけてしまうことがありますが、意識していつまでも仲良くありたいものです。
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(日蓮宗ビハーラ・ネットワーク)
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