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日蓮宗新聞 平成18年8月20日号
もっと身近に ビハーラ
林 妙和師
24
介護・看護のワンポイント

健康の秘訣は足元から
介護予防として「フットケア」が大切

 足元に注目

佐藤さんは百五歳。
会話を楽しみながらのケアです
 足湯や足つぼマッサージなど、近頃足に関する健康法がブームですが、介護予防としての「フットケア」の重要性はご存知ですか?
 高齢になると「足のツメが厚くなる」「身体や関節が固くなる」「手の力が弱くなる」「目が悪くなる」といった変化から、「自分で足のツメを切れない」「切り方が悪い」など、ツメや足の周囲への自己管理が適切にできなくなります。ツメの変形、陥入や魚の目、たこは、歩行時に痛みを生じさせ、歩行を嫌がって閉じこもったり、転倒に結びつくことにもなるのです。
 リハビリで足趾(指)や足底の訓練がうまくいかない原因に、ツメの状態の悪化や足趾のトラブルなどがあげられます。水虫(白癬症)の放置も多くみられ、足のケアがおろそかになっていると思わぬ事態が引き起こされることもあります。

ケアのポイント
下肢全体をよく観察し、トラブルは早めに相談する。
足底、足趾の間、踵、ツメと周囲の状態
皮膚の状態(変色、乾燥、亀裂、傷の有無など)
下肢のむくみ、腫れ、冷感、痛み
下肢の清潔の保持を心がける
入浴時、石鹸を泡立てて足底や足趾の間をよく洗う
こすりすぎて傷を作らない(感染防止)
足浴はリラクゼーション効果も期待できる。36〜38℃位の温度で、5分間から15分間。好みと状態に合わせて行う
清潔にした後はクリームなどで保湿する
マッサージは軽く、つぼ押しも効果的(骨粗しょう症に配慮)
ツメ切り方法を工夫する
原則はツメに対して直角に切る(陥入ヅメの予防)図参照
深ヅメに注意する
家庭用、鋏型、ニッパー型など肥厚したツメに適したツメ切りを
履物の選定
合わない履物は指などの変形を来す
少しの刺激で靴擦れなど傷を作りやすい
水虫(爪白癬症)を治療する
スリッパ、足拭きマットなどが感染経路に
足趾の変形や高度の爪の変形・魚の目・たこの切削除などは医師に相談を
糖尿病患者のフットケアは医師の指示のもとに行う(足の病変は軽度から重症まで多彩)


 事例を紹介します。
 としさんは歩くことができず、車椅子を使用してショートステイを利用していました。職員が、爪白癬から周囲が化膿していることを発見。長い間、ツメや足の手入れをしていませんでした。
 早速、治療を開始。自宅でもケアを継続してもらうと、としさんは化膿・爪白癬が改善されると共に歩けるようになったのです。
 日常生活で足元は見落としがちですが、あらためて看護・介護の視点でフットケアの重要性をお分かりいただけたことでしょう。

二年間の活動紹介 次回から執筆者交代
 二年間にわたり活動の一部を現場からのメッセージとしてご紹介しました。身近なビハーラ活動の実践は、仏の教えを実行する菩薩行です。気負わないで、あなたのできることからさせて頂く。共に支えあって生きる社会です。活動の種はたくさんあります。他者との関わりを通して学ばせていただくことで、生きるための力が得られ、自分自身も癒され成長していくのです。
 たくさんの笑顔に出会いたい−−。それは相互の想いです。「ただそこにいるだけでいい」。温かい見守りが救いになる時だってあります。社会的システムには、不備や隙間があります。人と人とのかかわりの中でどうあればよいか、支援のあり方を問い続けていきましょう。
(名古屋市道心寺修徒・医療法人大雄会顧問)
※次回からは、日蓮宗ビハーラネットワークのメンバーが交代で活動を紹介します。
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