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日蓮宗新聞 平成17年3月20日号
もっと身近に ビハーラ
林 妙和師
まる7
介護・看護のワンポイント

排せつは大切な命の営み  
優しい心配り、羞恥心に配慮が必要

 「くしゃみをしたら、モレちゃった。これって病気?」「私だけじゃない?尿モレの悩み…」
 自分の意思とは関係なく尿がモレてしまうことを「尿失禁」といいます。成人女性の3分の1は「経験が有る」といったデータがあります。恥ずかしいことではないのです。
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おもなタイブは
まる1腹圧性尿失禁(女性に多い)
・出産・加齢・肥満などからの骨盤底筋のゆるみ・尿道の機能低下が原因。
・咳や、くしゃみなどで腹圧がかかると漏れる。
まる2切迫性尿失禁
・膀胱括約筋が緩んだり、排尿神経が鈍くなるなどが原因。
・急に尿意を感じ、トイレに行きたいと思ったら、自分の意思に反して尿がモレてしまう。
・下著を下ろしているうちに漏れてしまう。
・高齢者に多い尿失禁の70%はこのタイブ。
まる3溢流性尿失禁
・前立腺肥大などが原因(男性の場合)
・膀胱内に尿がたまるとあふれて少しずつ尿がモレる。
・排尿開始までに時間がかかる。
・勢いがなく、ちょろちょろと出て切れが悪い。
まる4機能性失禁
生活動作の障害
・半身麻庫などがありトイレに行くまでや排尿までの動作に時間がかかり問に合わない。
認知症(痴呆)
・排尿に関わる判断力の低下。
・尿意がはっきりしない。
・下着を下げられない。トイレと違う揚所で排尿してしまう。
介護のポイント
・病気(前立腺肥大など)が原因の揚合は治療をする。
・時間で早めにトイレに誘う(行く)。
・高齢男性は一歩前に出て、尿器に近づき排尿すると外へたれない。
・着衣の工夫(マジックテープ・ゴムで下げやすく)
・トイレの環境を整える(手すりをつける)
・収尿器・ポータブルトイレの活用
・認知症の揚合はトイレの揚所に目立つ印をつける。
・「尿吸収専用パッド(女性用)」「尿パット(男性用)」「失禁パッド」「失禁パンツ」など使用。モレの状況にあわせて薄型から各種あります。
 ただ高齢者でも失禁の治る可能性も高いので「モレるから」「汚されたくないから」とすぐにオムツと考えないで、治療や改善の可能性を配慮してケアの方法を選び工夫しましょう。

さりげなく1、2、3 トレーニングはいつでも、どこでも
「やってみよう!」
○女性の尿モレは骨盤底筋訓練が有効であるといわれています。トレーニング方法は簡単。いつでもどこでも、家事やテレビを見ながら、ぜひ。
・肛門と膣の部分をキュッとしめ、3つから5つ数えてゆるめる(排便時便をきる要領で)これを5〜10回する。
・慣れれば20回くらい繰り返す。1日3回〜4回くらい。3ヶ月以上継続して。
○歩いて骨盤底筋を鍛える。(お腹に脂肪がつくと膀胱が圧迫されて尿モレの原因になります)
 排せつは私たちにとって何気ないが大切な命の営みです。だからこそ、とくに養恥心に対して配慮が必要なのです。
 安易なケアやひと言が自尊心を傷つけ人間としての尊厳喪失につながり自立を妨げるきっかけになります。支障なく毎日過ごせることに感謝し、他者をおもい測り、優しい心配りが排せつケアの基本です。