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日蓮宗新聞 令和7年3月10日号
重い障がいを生きる
今田 忠彰

個性が認められる社会へ

 私が、障害者特定相談員として担当しているAさんは、重度の障がいをかかえながらも、自宅で両親と暮らしている。
 Aさんは、生まれながら脳に障がいがあり、意思表示をすることができない。両親は事業を行っており、2人で交代でAさんの介護を行っている。毎日、訪問看護師が医師の指示を受けながら、身辺の世話をしている。
 看護介護に関する裁量は両親の担当で、本人はまったく対応ができない。看護師がオムツ交換や清拭(せいしき)などを行うと、気持ち良さそうな様子に見えるが、感情があるのかどうかは分からない。でも母親は「Aちゃんは、ちゃんと分かっているのよ」という。目に光を当てたり、耳に音を聞かせたり、皮膚に刺激を与えて、反応がないから感情がない、というものではないだろう。
 いま、両親の一番の心配ごとは、高齢な自分たちが死んだ後、Aさんはどうなるだろうか、である。「このまま置いては逝けない。いっそ、3人で死んでしまおうか」と考えたこともある。
 家庭で介護ができる人はまれで、ほとんどが病院か施設で生活している。家族での介護が困難な事例が多々ある。その人らしい生き方は、まずできない。
 昔は、障がいのある子どもは、家のなかに閉じ込められることがあった。最近になってようやく、障がいも個性だからと、社会に認められるようになってきた。日本の法制度も、ようやく整備されてきたが、まだまだ不十分である。親としての思いあまる気持ちは理解できる。
 自然界で最も弱い生物の人開が、長く生きてこられたのは、協力と共生の精神があったからだという。重い障がいをかかえて生きる人たちへ、寄り添う社会の理解が、Aさん親子への癒やしとなるだろう。
 (日蓮宗ビハーラ・ネットワーク世話人)
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