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日蓮宗新聞 令和7年2月20日号
子どものグリーフサポート
臨床仏教師  星 光照

同じ悲しみ抱える子どもに表現の機会を

 大切な人を亡くした家族には大人だけではなく幼い子どもたちもいます。
 「子どもだからすぐに忘れるだろう」 「子どもは大人ほど感じていない」といった誤解を持つ人も少なくないかも知れません。しかし年齢に関係なく大切な人を失った子どもたちは大人と同じようにさまざまな影響を受けているのです。O歳の赤ん坊でもグリーフによる影響があるといわれています。
 一見すると子どもがグリーフによる影響を受けているのかどうか把握しづらいことがあります。大人は自分の体験や気持ちを誰かに相談したりするなどできますが、子どもは自分の気持ちや体験を言語化する能力が大人と比ベて少なく、また「死」というものを理解することが難しいため、気持ちの行き場がないことが多いのです。
 年齢によって違いはありますが、子どもたちは自分の気持ちを行動で表現します。葬儀会場で走り回ったり、ケラケラ笑っていたりする子どもを見かけることがありますが、決してわざとではなく悲嘆の反応の一部なのです。
 子どものグリーフサポートで大切なのは、子どもが安心して自分の気持ちを表現できる場所や機会を作ることといわれています。大人も素直に自分の気持ちを伝えることが重要です。そのなかでサポートの1つとして「絵本」の役割は大きいといわれています。絵本の世界には大切な人との別れを扱った作品がいくつもあります。言葉を理解するのが難しい子どもたちにとって物語の力を借りながら、また繰り返し読むことでゆっくりと自分の気持ちに気づくことができます。感じたことや感想を互いに語り合うこともできます。
 子どもたちも私たちと同じように悲しみや苦しみを抱えていることに思いを馳せて下さい。子どもたちの表現はその子にとって必要な時間なのですから。
(日蓮宗ビハーラネットワーク会員)
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