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日蓮宗新聞 令和5年12月20日号
仏さまの声を信じて
齊藤 耀慧

誰かのために手を合わせ所がある心強さ

 「夫が旅行先で倒れ病院に入院しました。私が、病院に行くことができないので…どうしていいか、分からなくて」。電話口のNさんの声は震えていました。
 くも膜下出血でした。ドクターヘリで病院へ搬送ののち手術を無事に終えて、「意識が戻るのを待っています」とのことでした。その後、「大事に至らなかった」と連絡があり安堵しました。
 夫は、旅行好きでお友だちとよく出かけていたそうです。健康には自信があっただけに今回のことでは、本当に驚いたそうです。
 Nさんにはアレルギー疾患があり、新型コロナワクチンを接種していません。そのために家族からは外出を止められていて、夫の搬送先の病院に行くことができず、きっと不安だったに違いありません。
 Nさんとは、Nさんの母親の49日・納骨の時からのご縁で18年になります。とても信仰心が篤くコロナ禍の間、オンラインでの信行会にも積極的に参加してくれました。毎日半紙にお題目写経をして、仏さま、ご先祖さまにお経を手向けてきました。使われているお経本はテープで補強してあり、大切にしているのが分かります。
 「是好良薬[ぜこうろうやく] 今留
在此[こんるざいし]」−この良薬をお飲みなさい。尊き妙なるお題目。素直に信じて唱えなさいと励ます声は仏さま─。それを信じる心が夫の体に届いたのでしょうか。夫の回復は医師も驚くほど早かったそうです。
 今回の夫の入院で感じたことがあるそうです。なんとなく過ごしている普通の生活がとても有り難いこと、このような時に夫のために手を合わせる拠りどころがある心強さ。
 重度5の状態の入院から退院まで約1ヵ月という回復力。「ほんとうに“お陰さま”です」と、退院の報告の声は喜びで弾んでいました。
(日蓮宗ビハーラ・ネットワーク会員)
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