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生老病死と向き合う あなたのそばに
日蓮宗新聞 令和4年5月20日号
今を生きる人たちへの保障制度の確立を
医師・太田喜久子

コロナ禍でこそ慈悲の精神を

 コロナ感染症はこの3年間を経て今なお日常を脅かし、私たちの生活様式を大きく変えました。それにより、精神的に不調を抱える人も増えたため、日本精神神経科診療所協会は緊急調査を行いました。その結果、感染していない人でも8割に不安があり、なかでも女性に不安が強く出ていることがわかりました。職業別の調査では専業主婦が突出しており、家庭内の夫や子どもの在宅やリモートワークで女性に負担が多くなったことが背景にあるようです。11年ぶりに2020年には自殺者が増加となり、女性と若年層が目立ちました。
 コロナ感染症の後遺症では持続的な疲労感とアンヘドニア(無気力)などがあり、子どもたちの影響としては不登校が増え、家族だけでは抱えきれない問題にもなっています。しかし「コロナうつ」の定義がないため、新型コロナに関連して気分が沈んでいる状態で、精神医学的に病気とはいえない場合も含んでいます。
 コロナ禍ではコミュニケーションが減ったり、家族で喧嘩が絶えなくなったり、仕事を失ったり、収入が減じたりすることなどの環境の激変がうつ病の引き金になることがあります。
 38歳の男性は、就職氷河期世代でやっとの思いで介護の仕事につき、13年間勤めてきました。しかし出勤前になるとうつ気分が出て休むようになったのです。勤務先では感染拡大の予防や影響で夜勤と残業が増えました。そのようなときに管理職の声がかかり、さらに家族との時間がなくなることになるため悩み始めたのです。就職氷河期に苦労して得た職業ですが、結局子どもたちの健康な生活を維持するために退職を決意したのでした。
 現在、就職氷河期世代の35〜54歳の人たちへの救済制度ができてハローワークが窓口になっています。制度自体は良いものですが後手の救済として感じてしまうことは否めません。さまざまな課題や問題が、このコロナ禍で浮き彫りになっています。後手に回ることなく、慈悲の精神で今、生きる人たちの保障制度を一刻も早く確立して欲しいと願っています。
(日蓮宗ビハーラ・ネットワーク会員)
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