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生老病死と向き合う あなたのそばに
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日蓮宗新聞 令和3年1月20日号
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臨床宗教師について
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宮村 妙洋
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その人らしく残りの人生を送られるよう
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「臨床宗教師」という言葉をご存知でしょうか。東日本大震災で宗教、宗派を超えた宗教者の有志が犠牲者の追悼や遺族の心のケアに当たったことを機に臨床宗教師が誕生しました。
臨床宗教師という言葉は欧米の「チャプレン」に対応する日本語として考えられました。
被災地、医療機関や福祉施設で布教や伝道を目的とせす、宗教者の経験をいかし、価値観を尊重しながら、苦悩や悲嘆を抱える人たちに傾聴を通して心のケアを行っています。
臨床宗教師会の高度な倫理を守り、仏教やキリスト教、神道などの宗教者が協力しています。
病院、在宅医療や福祉施設で臨床宗教師が勤務あるいは、ボランティアで活動をしています。
日蓮宗にも10数人の認定臨床宗教師がいて、活動をしています。しかし、まだ臨床宗教師の認知度は低いように思います。
■臨床宗教師への道
私は長年の看護師経験の中で、多くの患者さんの看取りに携わり、「早く死にたい」「どうして、こんな病気になったのか」と、怒りをぶつける患者さんや「死んだらどうなる」「死ぬのが怖い」といったスピリチュアルな痛みを訴える人も見てきました。
また、家族の悲嘆を目の当たりにしながらも、応える言葉も、当時は見つからず、辛く無力な自分自身を感じていたのです。
このような医療現場での経験と、東日本大震災の遺族から悲嘆や苦しみなどを傾聴したのが臨床宗教師養成講座を受講するきっかけでした。
■緩和ケアチームの一員として
東北の震災被災者支援から地元に戻り、長崎県内の病院の医師で臨床宗教師である先生から院内のすずらん緩和ケアチームの一員として一緒に仕事をと、誘いを受け現在に至っています。
緩和ケアの患者さんや家族は、さまざまな苦悩を抱えています。
1人ひとりの身体や心の辛さを和らげ、その人らしく残りの人生を送ることができるよう、それぞれの専門性からなるチームで支えるケアです。
患者さんや家族の辛い想いを静かに傾聴しているところです。
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(NVN会員・認定臨床宗教師・看護師・スピリチュアルケア師)
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