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生老病死と向き合う あなたのそばに
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日蓮宗新聞 平成29年7月20日号
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猫にも寄り添える?
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三井 妙真
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急がばまわれの精神で
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お寺の境内というのはある程度広く、静かで野良猫にとっても安全な場所であり、安全だからこそ安心して落とし物をしていく訳で。
ここ近年、野良猫が減ったとはいえ、お馴染みさんは数匹境内を訪れます。そんな数匹の中にとても臆病な野良猫がいまして、その子のしっぽはタヌキのように先がぷくっとしているので「タヌキ先生」と呼ばれるようになりました。
妹がその猫を気に入り、他の猫が境内を通ろうものなら、家の中から外へ走り出して追い払うほどでした。私が10年近く前に初めて受けた電話相談は「毎日、野良猫に餌をあげているのに懐かない」でした。その相談に対しても妹はきっぱり「生まれながらの野良猫は懐かないもの」と言いきっていました。確かに見返りを求める行為は本当の愛ではない。与えることに幸せを感じられることこそ、仏さまのおっしゃる布施ではないでしょうか。今やタヌキ先生一筋。毎日つれないタヌキ先生に尽くすその姿は「愛の一方通行」と呼ばれています。
干葉に住む友人が飼っている猫はかつての野良猫。妹にこの話をしたら、自分にも希望がある!と毎日いそいそと朝ごはんの用意。最初は玄関から3bの位置に器を。時間をかけて徐々に玄関寄りに器を置くようになり、1人と1匹の距離は1b以内。以前は雨の日は境内に来ませんでしたが、天気にかかわらず毎日来るようになりました。
最近では境内でくつろぐ姿をよく見かけます。タヌキ先生が妹を見つけるといつも餌を待つ場所に一直線に駆け出します。お昼ご飯やおやつをあげることもしばしば。だいぶ慣れてきて、ここ2〜3日は小さく「にゃ〜」と鳴いてご飯を催促しますが、まだ玄関の扉が閉まらないと食ベ始めないタヌキ先生です。人間と同じように愛情をもって接し続けていけば、近い将来、両想いになって(?)妹の手から餌を食ベる日が来るのでしょうか。
自坊のアイドルとなったタヌキ先生ですが、男性はお好みではないようです。
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(日蓮宗ビハーラ・ネットワーク会員)
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