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生老病死と向き合う あなたのそばに
日蓮宗新聞 平成26年6月20日号
お見舞いは心を繋ぐメッセージ
林 妙和

あなたが大切。よりそう心が安らぎに

 「ねえ見て! 娘から花をもらったの」と、はしゃぐ声が聞こえます。
 毎月、心のケアで訪問する施設では母の日の行事が行われました。
 Aさんは「職員の皆さんからカードをもらったの」と手に取り、嬉しそうに見せてくれました。
 入所したての頃は、「自分の手足なのに鉛みたいに重く、ままにならなくって」と、半身まひの身体に、つのる不安や孤独感で、その表情は悲しげでした。
 Aさんに寄り添い、傾聴を重ねて2年余。少し手助けは要りますが、自分の力で車イスをこぎ、お曼荼羅と夫に祈りたいという願いが叶ったのです。
 彼女を支えたものは、夫との最期の会話である「孫の成長を見続けたい」という思いの実現でした。その希望があったから辛いリハビリにも耐えられました。
 Aさんは新たに絵手紙教室に挑戦し、楽しみながら描いた作品をお孫さんへせっせと送っています。
 高齢者支援で大切なのは、人とのつながりであり、どのような環境にあっても自分らしく尊厳を保ち、よりよく人生を全うできることです。しかし、病気が長引いたり、施設入所となると、見舞う方も、つながりも減っていきます。本人は「家族に見放された」「忙しいから仕方ない、でも寂しい」と話すのです。
 ですが、家族や周りの人にも事情はあります。それを理解して私たちはご本人と家族の両方に目を向けた支援が必要です。
 広辞苑によると「見舞い」とは「災害や病気に罹[かか]った人を訪れ労[いた]わる」、また「手紙や電話で安否を伺い、慰め、品物などを贈ること」とあります。
 人は会いたいと思う人がかたわらにいることで、安心や安らぎに繋がります。それが叶わなくても…。
 例えば、Bさんには住職から「境内のつつじが満開になりました。風邪を引かないように」と、一言添えた絵葉書が届きます。
 「いつまでも、有難いよー」とBさん。ちょっとした心遣いで心がホッと和むのです。孤独を感じている人に「一人じゃない」と伝える。その人との大切な心といのちに関心を寄せているというメッセージです。
 お見舞いは「あなたが大切・忘れていない」と、寄り添う心を表す行動です。「法華経とお題目に培われた思いやりの心を持って寄り添うこと」が、いのちに合掌の実践でもあるのです。
 (日蓮宗ビハーラ・ネットワーク会員)
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