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生老病死と向き合う あなたのそばに
日蓮宗新聞 平成26年2月20日号
自死に向き合うヒント
吉田 尚英

共に泣き、怒ることが
立ち直るきっかけになる

 平成23年4月に日蓮宗宗門運動本部から『いのちに合掌〜自死に向き合うヒント』という小冊子が発行されました。
 大切な方を自死で亡くされた方に接する機会や、「死にたいほど辛い」と相談される機会が、僧侶やお寺の奥さんには少なからずあります。その際、どう対応してよいかわからずうろたえたり、相手を傷つける言葉を発してしまうこともまた少なからずあるようです。
 自死はどこか遠くで起きている他人事ではなく、今を生きる私たち自身の大きな課題です。そのような問題意識から平成22年、浄土真宗本願寺派東京教区教務所が『自死に向き合う』というタイトルの冊子を発行しました。その翌年、デザインをそのままに、一部の文言を日蓮宗向けに改訂したのが『いのちに合掌〜自死に向き合うヒント』です。自死への取り組みは宗派を超えて共通したものです。その認識から、各宗派が同じデザイン、同じ内容の冊子を発行しています。
 この冊子の内容の一部を紹介します。
  ●「死にたい」と思い詰めている人には、「それは気にしすぎですよ」と批判したり、「もっと明るい話をしましょう」と話をそらしたりせずに、「つらいですね」「その気持ちをもう少し聞かせてください」と気持ちを認め共感する姿勢を示すことが必要です。
  ●「死んではだめ」「きっと大丈夫」など安易に否定や励ましをするのではなく、「死んで欲しくない」と自分の気持ちを伝え、一緒に考えよう」と寄り添う姿勢を示すことが大事です。
  ●自死で大切な方を亡くした遺族や友人・恋人などには、腫れ物に触れるような態度をとったり、誰かを責めたり、無責任な励ましをしたりせず、「つらいですね」「大変ですね」と共感し、一人ではないという思いを伝えることが大切です。
 実際に死にたくなるほどの苦しみや、大切な人を亡くした悲しみを、すべて理解し、受け入れることは容易なことではありません。でも、すべてを共感することができなくても、共に泣いたり、怒ったりしてくれる相手がいれば、立ち直る手助けになると思います。
 私たちもいつ突然苦悩の底に落ちるかもしれません。悩んでいる人に相談されても一人では支えきれない場合もあります。お互いがお互いを敬いあい、いのちの尊さに気づくこと。それがこの冊子のタイトル 「いのちに合掌」です。
(日蓮宗ビハーラネットワーク会員・自死・自殺に向き合う僧侶の会共同代表)
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