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生老病死と向き合う あなたのそばに
日蓮宗新聞 平成26年1月20日号
健やかに育て −広がるきずな−
林 妙和

気付いてほしい母のサイン
みんなが幸せになる社会を

 「いない いないーばあー・かわいー」
 春の寺に歓声があがる。A子さんの優しい眼差しから、あの日の出会いが夢のよう…。
 「私シングルマザーになる。働きたいし、結婚はしないけど。子どもは欲しい」。36歳、ひとり暮らしで、妊娠3ヵ月を過ぎ、周りから反対されるし、彼とも向き合っていないなど、悩んでいた。
 私はまずA子さんに寄り添い、その想いにじっくり耳を傾けた。
 落ち着いてから仏教の親子となる「ご縁」や命のつながりについて話し、より深めるために、本をプレゼントした。
 数日後、A子さんからメールが届いた。
 「この本を読んで涙が出た。私たちを父母と選んで赤ちゃんが宿ったなんて考えてもみなかった…」。ひとりで育てる、と意気込んでいたが、多くの繋がりがあったことにA子さんは気付いた。
 ところがA子さんの思い描いていた妊娠と仕事との両立の現実に、時には苛立ち、つわりや流産の兆候に気をもみ、胎児の体重増加が少ないと心配し、「疲れたよーもうどうなってもいい」などとメールを送って来ることもあった。揺れ動くA子さんに寄り添ったのは僧侶、助産師、訪問看護師、先輩ママたち「和み」のメンバー。
 この出会いが直接のふれあいとなり、インターネットの情報では味わえない人の温もりを感じ「嬉しくて泣けるよ〜」とA子さん。ママ友との輪が広がり、ベビー用品の情報交換や語らいを楽しめるようになった。
 5ヵ月を迎え着帯の日を彼と共に迎えた。児心音に感動し、児に語りかけたり、胎動に「最高の幸せ!」と喜ぶ母の姿があった。
 やがて無事に女児を出産。反抗していた親にも「ありがとう」と感謝の言葉が言えた。
 最近はライフスタイルが多様化し、個々で家族、妊娠・出産・育児に対する考え方が異なる。それぞれの人生を歩む中、命を授かり、出産・育児と日々生活が続く。時には、親も楽しみ癒されたい。心身の疲れや心配事が気兼ねなく、表出できる仲間や安らぐ場が必要になる。周りに制度の活用を含めて母子に寄り添った身近な支えがあれば小さなサインにも気づくことができる。孤立による辛い結果を未然に防ぐことにもつながる。
 A子さん親子の笑顔に接して、仏の慈悲に包まれた地域の中で、尊い命が育まれ、輝く未来が幸せであれと祈る新年であった。
 (日蓮宗ビハーラ・ネットワーク)
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