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日蓮宗新聞 平成25年8月20日号
食べることと生きること
林 妙和

本人の充実した人生となるには何が必要か

 夏バテ防止の食事を楽しく「おいしい〜」と喜びを共にし、語りあいながらゴクゴクと冷えたのを一気に飲みたい。しかし、その食べる楽しみを経口か、チューブによる栄養補給か、重要な選択肢として決断しなければならない時期が訪れるとしたら…。
 A子さんが母親Bさん(95)をデイサービス等を利用しながら在宅介護して3年。噛む(咀嚼力[そしゃくりょく]飲み込み(嘸下[えんげ])の力は多少の低下はあったが、大好物のウナギを「おいしいねー」を連発しながらぺろりと完食できるほどでした。そんなBさんの姿から家族はまだまだ元気でいてくれると安心していた矢先。心臓発作で入院し、一旦退院できたが悪化し再入院。病院食の摂取に時間がかかるようになり、医師から、腹部に穴を開けて胃へ管を入れ栄養を送る「胃ろう」が必要との説明を受けました。家族の中でも「それでも生きてほしい」「可哀そう」と意見が分かれました。「最後までロから食べさせてあげたい」を選択しましたが、「どちらがいいか」と、Bさんにはどうしても聞くことができなかったとのこと。
 好物を持参し、会話と共にゆっくり少量であるが「おいしいねー」と食べることができた。お題目で体をさすり「頑張ろうね」と励ますA子さんに、Bさんは「ありがとう。もういいから、仏さまのそばに」と一言…。その言葉の重みに、たくさんの思い出と共に抑えていた感情がこみ上げてきました。それからは次第に食べ物を口元に運んでも首を振ることが多くなりました。母の最期のサインと受け止め、自宅に連れて帰りました。孫・ひ孫たちに囲まれ、微笑む母の姿から「決断はこれで良かった」と、自分に言い聞かせることができたとA子さん。Bさんはまもなく安らかに旅立たれました。
 A子さんのように「胃ろう」という重要な決断を迫られる家族の悩みは重く、心が揺れ動くのも自然なことです。単に年齢や延命の視点から「胃ろう」の是非を考えるのでなく、その選択が本人の充実した人生になるかが問われます。本人の人生の仕上げに望んでいることは何か。その希望を実現するため何をどうすれば環境が整えられるか。本人と家族の気持ちに寄り添い周囲の人が共に考えることが重要です。このことはみ仏の命をどのように生きるかという大切な課題にも通じるのではないでしょうか。
 (日蓮宗ビハーラ・ネットワーク世話人)
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