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日蓮宗新聞 平成25年1月20日号
脳の病気  −精神疾患・認知症−
今田 忠彰

100人に一人が統合失調症の現代社会

早期発見・治療が最善

 いま在宅で、多くの精神を病んでいる方々が、試行錯誤しながら生活している。
 私共が運営している訪問看護ステーションにも、精神疾患の患者さんが多くいる。現代社会の複雑さ、歪みのせいなのか、百人に一人が統合失調症を発症しているという。また、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症を発症し、精神科に受診している高齢者の方も急増している。
 『ラジオ深夜便』十二月号に、多賀洋子さんのお話が紹介されている。
 「もう君を幸せにできんと泣いた夫」というご主人は、京都大学薬学部教授を退官した六十二歳頃、アルツハイマー型認知症を発症し、九年間の闘病生活の後亡くなった。その介護生活について、自らの体験を踏まえて、『認知症介護に行き詰まる前に読む本』にまとめている。「認知症介護には、何よりも病気への理解が大切」とアドバイスを送っている。自分一人で抱え込まないで、社会の多くのサービスを利用することを勧めている。
 他人事ではない、私の母も、認知症を発症し、九年間の闘病生活・介護の末、八十八歳で逝去した。いま振り返れば九年間だが、当時は「この先どうなるものか」と途方にくれた。ある時、主治医から、精神科の受診を勧められた時、「私の母は、精神病ではありません」と言ってしまった。無知だった。今の私なら、迷わず受診する。
 ある檀家さん宅でのこと。お彼岸の読経が終わると、奥様の手作りのおはぎを頂くことが恒例になっていた。その日食べたおはぎは、塩味だった。本人は平気で食べているのに、私にはとても食べられない味だった。直ぐに娘さんに連絡し、事情を報告して、精神科への受診を勧めた。いま在宅で、介護を受けながら暮らしている。
 母への介護が終わってから、色々な人にお世話になったお礼にと、看護介護の事業を始めた。いま自坊に認知症の高齢者が安心して暮らせる「グループホーム」を運営している。ケアマネや訪問看護や訪問介護の事業も併設して、四十五人程度の職員とともに、「高齢者や障害者や精神疾患の方たちが、その人らしく住み慣れた在宅で暮らし続けられるように」を目標にしている。
 認知症は、身近にいる家族が一番早く気が付きやすいから、味付けがおかしい、料理の手順が分からなくなった、自分の家に帰れなくなったなど、「何かおかしい」と思ったら、早く専門の医師に相談することをお勧めする。早期発見・早期治療が最善の策だ。
 私はいま、病気や身体障害、高齢化に悩み苦しむ人たちに寄り添い・支援するビハーラ活動に取り組んでいる。
 (日蓮宗ビハーラ・ネットワーク)
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