第 一 条 |
看取りの最初の心得は、看取りし者もいつか必ず死を迎えるという自覚なり。
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第 二 条 |
看取りとは、死の前には無力なる、何もできない自分自身を知ることから始まるなり。
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第 三 条 |
およそ看取りの対象は、末期がん患者のみならず死に臨む人すべてなり。
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第 四 条 |
看取りの期間に長短あれど、およそ三月と心得よ。
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第 五 条 |
看取りとは、限りなき他者への関心なり。傍らに居り、耳を傾け、語り合うことこそ基本なり。
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第 六 条 |
信頼は、事実を告げることから生れるなり。
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第 七 条 |
看病・看死・葬送は、切り離しては考えられぬものと心得よ。
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第 八 条 |
看取りのめざすは、この世からあの世への橋渡しなり。
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第 九 条 |
病者の「願い」を軸として看取ることが大事なり。
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第 十 条 |
看取る者は、医者や看護者のみならず、仲間と共に看取るなり。
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第十一条 |
看取る者、それぞれ役割を心得て、苦痛の緩和をめざすべし。
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第十二条 |
看取る者看取られる者共々に、最後の瞬間(とき)に「救い」をめざすべし。
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第十三条 |
看取りの質は、看取る者の生死観が左右する。
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第十四条 |
看取りにおける善し悪しを決めるは病者の思いなり。「あなたに出会えてよかった」と、言われて気づく評価なり。
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第十五条 |
人の臨終・死後処置にかかわるは、偶然でなく必然なり。縁あって選ばれたと思うべし。
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第十六条 |
看取る者、看取られる者共々に、心残りや憂いなく、「これでよかった」と思えるように励むべし。
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第十七条 |
看取りとは、看取りし後も続くもの、残される家族のケアも看取りなり。
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