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生老病死と向き合う あなたのそばに
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日蓮宗新聞 令和2年8月20日号
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こころを届ける
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林 妙和
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ウイズ・コロナ時代の私たちの行動
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長引くコロナ禍で、人の交流や日常生活のありようが一変しました。
ある住職から「譲り合って困難をしのぎましょう」と災害用備蓄マスクを回していただきました。同時期に友人から「お役に立てて」と、手作りマスクが届くようになりました。私はこうした皆さんからの「分かち合いの心」をマスクに添えて、独居・高齢者世帯など諸事情でマスクが手に入りにくい人たちに早速届けました。
老老介護中の男性は使い捨てマスクを何度も再使用していて「とても、とても有難い」と、涙ぐみました。
マスクを届けるだけでなく、人との交流が薄れ孤独を感じている人たちとの対面を通して、短時間であっても顔を見て声を掛けて寄り添うことの大切さを実感しました。
「閉じこもっていて足が弱った」「買い物が面倒」「病院へ行くのも不安」と、体や生活の様子を聴かせていただきました。この関わりが一時的ではなく、次に繋がる支援の糸□になっています。
一方で、自粛要請を機に、電話やスマホのSNSサービスの活用などが増えました。
老親の介護相談からの縁で知り合ったA子さん。彼女はSNSで両親への思いや自身の本音を率直に伝えてきます。ある日、施設にいる母親と3ヵ月ぶりに再会した様子の動画が送られてきました。そこには夫に手を差し伸べた嬉しそうなお母さんの姿がありました。「SNSでは伝わらない母の心や肌の温もりを感じました」と、A子さん。「スタッフさんの優しい対応に感謝です」と添えてありました。
この15分間の喜びの面会は感染リスクのある中、施設の皆さんの想像を超えた配慮のお陰で実現したのです。
ウィズ・コロナの時代を歩み出している私たち。
お互いの尊いいのちを守り、支え合い、その心がコロナに惑わされないために、相手を思いやり、温もりの心が伝わるそれぞれの行動が「いのちに合掌」の実践につながることを実感しています。
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(日蓮宗ビハーラ・ネットワーク世話人)
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