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日蓮宗新聞 令和2年2月20日号
増加する 引きこもり
太田喜久子

社会に安心できる場があると伝える

 2019年は引きこもりに関わる報道と事件が多い年でした。引きこもりは本人の受診でなく、家族からの相談で始まることが多く、本人と向かいあうまでに時間かかかります。最近は引きこもりになった子どもを持つ高齢の親からの相談が増えています。不登校の延長上から就職でのつまずきのほか、背景には家庭環境から精神疾患まで多様な問題があるのです。
 薬物療法が功を奏す場合でも、長年の社会的孤立で依存能力が低下し、自尊感情も低くなっています。ですので、家族の相談から本人の来院につなげ、個人療法と薬物療法を開始した後、集団療法であるデイケアに参加して、親密な関係を仲間と体験してもらいます。そうして自尊心が回復してくると、就労・就学などソーシャルワークにつなけることができます。
 あるうつ病の母親から引きこもりの息子の相談を受けました。小学3年時に不登校になり、中学は登校せず卒業し、自宅で過ごしている23歳です。ゲームが欲しいと言うので、働いて金銭を得る方法があるとワーカーが教えた直後から、就労訓練に参加を始めたのです。自宅で姉の赤ちゃんの世話をすることで昼夜逆転が治り、会話が増え、タイミングよく働くことを勧められたことで、引きこもりから脱したのです。
 学会で、引きこもりだった長男が突然「世話になった」と礼を言い、働き始めた事例を参加者が話しました。引きこもりのすそ野は広く先行きが見えないのですが、何とかなると関わりを続けています。
 方便品第2は誰もが仏になることができると説かれています。方便というのは真実の道に達する方法であり、方便が終わると仏さまは自分が信じていることをありのままにおっしゃるのです。仏の悟りは難解難入[なんげなんにゅう]でなかなかわかるものではなく、諸法実相[しょほうじっそう]では真実のありさまを十如是[じゅうにょぜ]であらわし、10の条件をすぺて遺憾なく調和的にそろえるようにつとめることが説かれてます。3回本末究竟等[ほんまつくきょうとう]まで力強く読誦しありがたさを感じています。引きこもりは大変困難な課題です。10の調和を崩して引きこもる若者に方便を用いてあれこれ対処していくのですが、10の調和がそろう時、彼らは引きこもりから脱するのでしょう。
 8050[はちまるごーまる]問題は深刻な問題で、80歳になる親が引きこもりの50歳の子どもの将来を悩んでいることが報じられます。日本型福祉社会で家族が抱えてきた問題を社会のさまざまな場にいる人たちが問題意識を持ち、取り組むことが求められています。社会に安心できる場と生活の保障があると伝われば、引きこもりから抜け出せるように思います。
(日蓮宗ビハーラ・ネットワーク会員)
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