日蓮宗 ビハーラ・ネットワーク
 
HOME > TOP > お知らせ > 関連記事 > 日蓮宗新聞より
(日蓮宗新聞 令和4年7月20日号) 記事 ←前次→

NVNトップメニュー
NVNについて
ビハーラ活動とは
NVNニュース
ビハーラ活動講習会
ビハーラグッズ
心といのちの講座
お知らせ
 関連記事
  日蓮宗新聞より
 レポート

会員限定
生老病死と向き合う あなたのそばに
日蓮宗新聞 令和4年7月20日号
人生100年時代を共に生きる
酒井 菜法

ストレス軽減してほしい。毎朝配信中

 人生100年時代といわれる日本。100歳を超えた高齢者は2021年現在で8万6510人と発表された。老いて亡くなるのはやむを得ないかもしれないが、老いる前に病になり亡くなる若い人も少なくない。2人に1人が癌といわれ、老若男女問わず死因が癌であった故人の葬儀が年々増えていると感じる。
 癌は死んでしまう病気と思われてきたが、実は年々新薬が開発され、付き合う病になってきている。それでも、どんな薬が合うか、これからどうなるのか、お金のことや家族のことなど不安は絶えない。だからこそ、話せる場所が必要だ。
 私か住職を務める埼玉県三郷市高應寺では市内にある「アカシア訪問看護ステーション」と共に毎月第4土曜の午後2時から約2時間、本堂で「がんカフェ」を行っている。このほど9年目の100回を迎えた。毎月30人ほどが集まり、これまでに300人余りの
患者、家族らが参加している。「悩みをさらけ出すことで前向きになれた」「死の不安をお寺で話せて気持ちが落ち着いた」「私だけじゃないんだと分かったら少し元気になった」など、患者らにとって生活に欠かせない貴重な居場所になっている。
 主催の訪問看護ステーション所長の看護師は、「病棟などだと、治療以外の話や生死については話しにくい。お寺は昔から身近な存在でホッとする場所だから、お寺でやりたいと思った」と話している。患者だけでなく、遺族も参加している。
 「家族を亡くしてから人に会いたくなくなっだけれど、ここには来たい」「ずっと泣けなかったのにお寺に来たら涙が止まらなかった」ご家族を亡くした人を誘って来ている」と遺族も癒やされている。
 そして、医療従事者にとっても大事な場所になっている。「日々死と向き合い、業務に追われ、家族を犠牲にしてきた苦しみを共有できて救われた」「仕事から離れて1人の人として誰かに寄り添う時間は初心に戻れる大事な場所」。また看護師としての責務が自分を一層苦しめていると吐露することで心を整理する場所にもなっている。時には日蓮宗布教研修生や上智大学グリーフケア研究生、看護学生なども訪れ、研修の場としても提供している。誰かに寄り添うことは簡単ではないからこそ、「あなたのそばにいますよ」「気にかけていますよ」と伝え合う。お寺はそんな場所になっている。
(日蓮宗ビハーラネットワーク会員)
あなたのそばにロゴ
この頁の先頭へ▲