日蓮宗 ビハーラ・ネットワーク
 
HOME > TOP > お知らせ > 関連記事 > 日蓮宗新聞より
(日蓮宗新聞 令和2年1月20日号) 記事 ←前次→

NVNトップメニュー
NVNについて
ビハーラ活動とは
NVNニュース
ビハーラ活動講習会
ビハーラグッズ
心といのちの講座
お知らせ
 関連記事
  日蓮宗新聞より
 レポート

会員限定
生老病死と向き合う あなたのそばに
日蓮宗新聞 令和2年1月20日号
誰であろうと慈悲心で看病すること
日高 隆雄

生命の選別につながることは許されるのか

 がんで亡くなる人は年々増え続けています。3人にひとりががんで亡くなる時代となりました。進行した状態になるとどうしても厳しい結末を迎えることが多くなります。このような終末期医療においては、がんのキュア(がんそのものを治療する)をめざす医療には限界があり、精神的ケア(患者の心の支えになり、心を汲んで世話する)が重要です。がんは治せなくても、亡くなるまでの最後の重要な時間の過ごし方を患者、家族とともに考え、希望に沿って支えていくわけです。淀川キリスト教病院名誉ホスピス長の柏木哲夫先生は、終末期において患者に苦しみのない、穏やかな精神状態で最期を迎えてもらうために必要な医師の資質として、4つの力をあげました。@差し出すことのできる技術力、A支えることができる技術力と人間力、B寄りそうことができる人間力、C背負うことができる宗教の力です。死に直面する患者に対して、精神的安らぎ、心の平安、死への準備、身体的・精神的つらさへの傾聴と共感、優しさ・温かさをもってそばに寄り添うことは、医師のみならす、宗教者に対して求められていることでもあります。
 身延山第22世心性院日遠上人は『千代見草』の中で「ことに後生を願う人は出家にても在家にても他人にても親類にても病とならばまめやかに心を留め、慈悲心にて看病すぺし」と書かれております。がん終末期で苦しんでいる患者に対しても、誠実で思いやりのある心で手を差し伸べ、寄り添い、ともに悩み、ともに苦しみ、慈悲心を持って看病することが大事だとおっしゃっているのではないでしょうか。
 医師と宗教者はいずれも人の生死に関わる職業という点て一致しています。人の生命の尊厳や生き方に関わり、精神的・肉体的なあらゆる苦痛を取り除くことを目的とするなど多くの共通点を持っています。とくに、がん終末期医療の現場においては、両者の協力が不可欠という時代が近づいていることをひしひしと感じております。
(日蓮宗ビハーラネットワーク世話人・医師)
あなたのそばにロゴ
この頁の先頭へ▲