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生老病死と向き合う あなたのそばに
日蓮宗新聞 平成29年1月20日号
あなたも誰かを追いつめていませんか?
吉田 尚英

世の中のしわ寄せは弱いところに出ます

 若い女性社員が過労で自死した大手広告代理店の社訓には〈取り組んだら「放すな」、殺されても放すな〉などの言葉が記されていると新聞で報道されていました。過剰労働を強いる職場で、早朝から深夜までの長時間労働、上司のパワハラ、睡眠不足とストレスからうつ病を発症したそうです。
 「自分が若いころは残業・徹夜は当たり前。お前の努力が足りない」と行き過ぎた指導や人格攻撃によって、自尊心が音をたてて崩れたとしても不思議ではありません。
 ストレスの多い職種として、医療・福祉、運輸、建設、サービス業、情報通信などが上位に挙げられています。時間に追われる・仕事量が多い・残業や夜勤など不規則な業態・顧客からのクレームなど、常に緊張を強いられて心身の健康を損なってしまうのでしょう。
 昨今の日本は便利すぎるように思えます。ネット通販を利用すれば家にいながら欲しいものが届けられます。しかしそのために、24時間対応で注文を受け付け、商品を探して梱包発送し、仕分けして運搬し、間違いなく届けてくれる仕事に携わっている人たちがいるのです。
 スーパー・コンビニ・ファミレスの年中無休・24時間営業もかなりの数に上っています。たしかに私たちの暮らしは便利になりましたが、その便利さを支えるために働いている人たちはストレスを抱え、過労死の危険さえ伴いながら、低賃金でがんばっています。
 かつての日本では、現代のような便利な電気器具もない中で、3度の食事に掃除・洗濯を1人でこなしていた「嫁」という存在がありました。子育てや夫の親の介護も嫁の仕事、さらに農家や商家であれば労働力としても駆り出されました。
 近年、男女平等が叫ばれるようになり、女性たちは社会に出ました。その結果、家事は分担、子育てや介護は施設に任せ、深夜まで開いているスーパーやコンビニを利用し、ネット通販で買い物をするようになりました。
 世の中のしわ寄せは弱いところに出てきます。人間は強い立場にも、弱い立場になり得る存在です。部下を叱咤する上司やクレームをぶつける消費者にもなり、がんばりすぎる労働者やお嫁さんにもなり得るのです。
 立場や権利を振りかざし自分の主張を過剰に押し付けていないか。逆に閉ざされた環境の中で視野が狭くなり、無理をして自分を押し殺してがんばりすぎていないか、冷静に考えてみましょう。
(日蓮宗ビハーラ・ネットワーク会員、自死・自殺に向き合う僧侶の会共同代表)
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