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生老病死と向き合う あなたのそばに
日蓮宗新聞 平成25年9月20日号
自死・自殺に向き合う
吉田 尚英

一人ひとりの人生はどれも尊く否定できない

 宗派を超えた僧侶による「自死・自殺に向き合う僧侶の会」では毎月一回「いのちの集い」という大切な方を自死で亡くされた方々の分かち合いの会を開催しています。
 自死で家族を亡くされた遺族は周囲から攻められ、偏見・差別・無理解に傷ついています。
 遺族や親族ではない友人・恋人・内縁関係の方などは、その苦しい胸の内を語る場所さえないことがあります。
 子どもを自死で亡くしたご夫婦は、夫と妻とでその思いに微妙な違いがあり、家庭内で亡き息子や娘の話をすることさえはばかられる場合があると言われます。
 そうした大切な方を自死で亡くされた方の多くが「なぜ気づけなかったのか」と自責の念にさいなまれ、「なぜ死を選んだのか」と答えを求めて苦しんでいます。
 そのような重い荷物を抱えている方々が、想いを語り合い、ほんの一時でも荷物を下ろしてもらう場所が「分かち合いの会」です。経験していなければ分かり合えないこと、立場が違うと口に出せないこと、これまで心のなかにため込んできたことなどをようやく吐き出すことができたと多くの方がおっしゃいます。
 行政や民間団体が主催する「分かち合いの会」は各地にありますが、お寺を会場にして僧侶が進行役になっている会も全国数ヵ所で開催されるようになりました。仏さまの前で法衣を着だ僧侶がお話をうかがうだけで随分と安心していただけるようです。
 そして多くの方が「自死者は成仏できないのか?」「地獄に堕ちていないか?」と僧侶に質問をされます。自殺は自らを殺すから殺人と同じだ、命を粗末にしていると周囲から言われるのだそうです。
 「自死遺族のつどい」とインターネットで検索をすると「自殺対策支援センターライフリンク」の「『自死遺族のつどい』全国マップ」がトップに表示されます。また僧侶による分かち合いの集いを開催している団体は以下の通り。大切な方を自死で亡くされて辛い思いをされている方は、ネットで検索してみてください。
・東京 「自死・自殺に向き合う僧侶の会」
・名古屋「いのちに向き合う宗教者の会」
・大阪「自死に向き合う関西僧侶の会」
・広島「自死に向き合う広島僧侶の会」
 しかし、自ら死を選ばざるを得ない状況に追い込まれた方は、本当は生きたいのに死ぬしかなかった、最後の最後まで力をふりしぼって生き抜いた方なのだと、遺された方々のお話を伺いながら私は感じます。その一人ひとりの人生はどれも尊く、自死という死に方で人生そのものを否定するべきではないと私は考えます。
 仏さまは、死ぬほど苦しみ悩み抜いた方に手を差し伸べないはずがありません。「いのちに合掌」と説き、法華経とお題目に出遭ったその時、仏さまと一つになると教える日蓮宗僧侶として私は「自死者が成仏できないということはありません」と自信をもってお答えしています。
(日蓮宗ビハーラネットワーク会員・自死・自殺に向き合う僧侶の会共同代表)
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